祝辞に込められたメッセージ

東京大学の入学式で上野千鶴子名誉教授が新入生に向けた祝辞が反響を呼んでいます。

(全文は載せきれませんので詳細は東京大学のホームページをご覧になってください)

上野氏は先ず、「ご入学おめでとうございます。あなたたちは激烈な競争を勝ち抜いてこの場に来ることができました。」と、

国内最高位の大学の選抜試験に合格、入学できた栄光を称賛しました。

そして昨年発覚した複数の大学の入試の不正に触れ、とりわけ女子学生に対する差別、

すなわち女子学生が合格しづらい実態があることを吐露しました。

受験生の偏差値が、むしろ女子の方が男子より高いというデータが示すとおり、

成績の差でなく親を含む社会の女子への偏見を指摘しました。

東大女子の合コンで「キミ、どこの大学?」と聞かれて躊躇する話。

東大女子が入れず、他大学女子が入れるサークルが東大内にもある話。

社会に出ればもっとあからさまな性差別が横行していると説きました。

上野氏自身、四半世紀前に東大に赴任し、女性学のパイオニアとして、のちにジェンダー研究と呼ばれ、

女性の立場について大きな風穴を開けた方です。

「あなたたちは頑張れば報われると思ってここまできたはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、

頑張っても報われない社会があなたたちを待っています。」と。さらに続けて、

「あなたたちが頑張ったら報われると思えるは周囲が励まし、背を押したからこそ。

あなたたちの頑張りを、恵まれた能力を、恵まれない人々を助けるために使ってください。」

「そして強がらず、自分の弱さを認め支えあって生きてください。」「弱者は弱者のままで」と呼びかけました。

変化や多様性に拓かれた東大に入学した学生に、特に女子学生にエールを送り、大きな期待を込めたこのスピーチは、

多くの一般女性たちにも響き渡ったようです。

今日本は少子高齢化が、就労人口減少、ひいては社会保障制度の疲弊にと危うくなっています。

これらの問題の解決の糸口はまさに「女性」です。女性が単に勤労者としての平等だけでなく

女性が「女性としての幸福」すなわち安心して子供を育むことのできる社会の構築が急務と感じます。

私たちも産婦人科・小児科医療に携わる者として、直接的な関心を持っています。

山積した問題の解消にはまだ時間がかかるかもしれませんが、東大の学生のみならず、

多くの共感の輪が広がっていったならば、社会も大きく変わるものと信じます。

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