奇跡の7分間

JRの東京駅で新幹線の清掃作業を終え、一列に並び乗客に一礼するテッセイ(JR東日本テクノハート)の

従業員らの姿を現地でまたはメディアなどでご覧になったことがあることでしょう。

「奇跡の7分間」と絶賛され、折り返し運転までの乗客の乗降時間を除く7分間に清掃員はテーブルや床、トイレの清掃、

忘れ物確認、座席の方向転換などの作業を終える。そのテキパキとする姿、また乗客へのこまやかなサービスなど

話題になっています。

 

実は、同社は以前から清掃作業を担っていましたが、苦情も多く、きつい仕事のため離職率も高く、

従業員のモチベーションも上がらず、問題点を多く抱えていました。

それを立て直したのはJR東日本から経営企画部長として送り込まれた矢部さん(69)。畑違いの部署からの着任後、

自信を喪失していた現場に活気とやる気を取り戻すべく「新幹線劇場」と称し職場の雰囲気を一新することを始めました。

従業員の声に耳を傾け、休憩所の環境を良くしたり、制服を変えたり、幹部登用の道を拓くなど

積極的に取り組みました。

しかし、もっとも従業員の意識を覚ましたのは、ひとりひとりに語って回った、

「皆さんは清掃のおばさんではない。日本が世界に誇る新幹線を掃除という面から支える技術スタッフなんだ!」

本気と情熱のこもった矢部さんの強い意志に、従業員はだんだんと目が輝きはじめ自分たちから積極的に

掃除道具について提案するなど、誇りをもって清掃業務にあたるようになったそうです。

矢部さん自身、親会社からの出向、「どうせ、行くからにはいい会社にしたい」と、悔しさを強い信念にかえて

自分も変わる決意と覚悟で臨んだのでした。

矢部さんの心境を悟ったかどうかは不明ですが、矢部さんを信じ、変わることに勇気をもった従業員も

また偉大だと思います。

 

今では世界の次期ビジネスリーダーが通う米ハーバード大経営大学院経営学の講義で、なぜここのスタッフは

いきいきと仕事をしているのか、いかに従業員にやりがいを感じてもらうかをテーマに教材として学ばれています。

みなさんも、秋の行楽シーズンに新幹線に乗る機会がありましたら、想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

 

参考書籍:新幹線お掃除の天使たち 遠藤 功 あさ出版

上記図書に詳しく描かれています。