春の景色

五月の朝。早苗なびかす風は温かな陽の光がさしていても北よりでまだひんやりする。

ちょうどよい気温の中、長袖の木綿シャツを二度たくし上げ、素足にサンダルで、たんぽぽ、どくだみ草

よく見るが名を知らない草たちの野道を行けば、すこし湿った空気に青い匂いがする。

風が運んできた若葉の匂い。

「ゲッ、ゲゴ、ゲゴ」と姿は見えないが、蛙の輪唱。わずかに波打つ底まで澄んだ水面をのぞけば、

1センチ足らずのおたまじゃくしが元気よく泳いでいる。

でもまだ小さいためか、遠くに行かず近くをなんとなく群れている。

ふと、見上げれば何かが、羽ばたいては羽を止める緩急つけた飛び方はまさしくツバメ。

目も追えぬくらいの速さだったが近くの民家の小屋へと消えた。

蛙の声にかき消され気付かなかったが、空高いところにひばりもいた。

耳を澄ますと「チュッ、チュッ、チッチ」ツバメのヒナの声も聞こえてきた。

親ツバメは這いでてきた小さな虫をついばみ、ヒナたちに与えているのだろう。

古くからツバメは農耕の友として、家の守り神として、また子供を産み育てるおめでたい鳥として

愛されてきた。ヒナたちが巣立つまで人々の近くで見守られ、いつしか巣立った頃には安堵感の一方、

淋しさ伴い郷愁を誘う。

人の手で世話ができないだけにやきもきすることもあるのだが、

見守る側もまた嬉しい、なんだろう、まるで親のようだ。